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ものづくりの原点にあるのは好奇心。創作活動と技術開発の共通点とは

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2024.08.02

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相澤 良晃
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井川 拓也

前回は「イメージング&センシング技術がつくる未来」をテーマに、SF作家の高山羽根子さんが、ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)グループの研究開発者2人にインタビューを行いました。今回のテーマは「技術開発とものづくりへの情熱」です。

全3回にわたるインタビューを終えて、できあがった小説はこちらからご覧ください。

SF作家の高山羽根子さんが、ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)グループの研究開発者である河野壮太さんと松浦良さんにインタビューを行いました。河野さんはソニー創業者の井深大氏の言葉に感銘を受け、技術開発における自由闊達な精神を重視しています。松浦さんはSSSのミッションに共感し、技術革新を通じて世界中のユーザーに感動を届ける喜びを述べました。また、二人は技術開発における好奇心と探求心の重要性を強調し、新しいアイデアを追求する過程での喜びと達成感を共有しました。若手でも自由に意見を出し合い、議論を重ねながら成長できる風土がSSSにはあり、それが技術者たちの創造性を支えています。

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    創業者のDNAが受け継がれ、経験の少ない若手でもチャレンジしやすい風土がある

    高山:お二人は仕事をするうえで、何か大切にされているものはありますか?

    河野:私が大切にしているのは、ソニーの創業者のひとりである井深大さんの言葉です。「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」。ソニーの前身である東京通信工業の設立趣意書に書かれているのですが、1946年という戦後間もない、まだ混沌としていた時代にこういう開放的な言葉を掲げられたことに、すごく感銘を覚えます。技術者を大切にしながら、世の中にない新しいものを創造していくというソニーの精神が端的に表現されていて、日頃からこの言葉に元気づけられています。

    松浦:私は「テクノロジーの力で人に感動を、社会に豊かさをもたらす」というSSSグループのミッションにすごく共感していますね。スマホを初めとするモバイル端末って、世界中の何億人ものユーザーが手にしているものです。その一人ひとりが「自分が見たものを記録して残したい、誰かに伝えたい」という気持ちで写真を撮っている。自分たちが手がけた製品を通じてそうした欲求にお応えできているということに、すごくやりがいを感じます。

    やはり「技術」ばかりを追い求めていると、ゴールを見失ってしまうことって大いにあると思うんですね。技術の先には、必ずユーザーがいる。ユーザー目線は、開発者にとってすごく大事なことだと思います。あと、開発者自身がワクワクしていないと絶対にいいものはできないし、ゴールにもたどり着けないと思っているので、「世界中の人に感動体験を届ける」というゴールを達成したときの喜びを想像しながら仕事をしています。

    河野:人間が本能的に持っている好奇心とか探求心とか、やはりそれがひとつの支えになっていますよね。世の中にないものを生み出すために、業界初のプロセス開発などにも挑戦するのですが、そういう新規で取り組む不確実性の高い技術開発は、途中で必ず大きな問題に直面します。それでも試行錯誤しながら諦めずにチームで乗り越えたときの達成感は大きいですね。

    高山:やはりソニーさんには、新しいことにチャレンジしやすい風土というか、社風があるのでしょうか?

    河野:若手社員でも発言しやすい雰囲気がありますね。開発者一人ひとりを尊重して、上の人が若手の意見をうまく汲み取ってくれるというか。SSSはわりと少数精鋭で、限られた人的リソースの中で、うまくコミュニケーションしながら、いろいろ議論してひとつの形をつくっていくという風土があると感じますね。そのためにはやはり技術者同士の自由闊達な議論が欠かせないわけです。意見をぶつけ合わせて、新しいものを生み出していく。その過程で技術者が育っていくという、恵まれた環境で仕事をさせてもらっていると思います。

    高山羽根子さん
    高山羽根子さん

    いいものづくりのためには作り手自身が楽しむことが大切

    河野:高山先生は、何が創作の支えになっているんですか? 情熱の源泉というか。

    高山:お二人とまったく同じだと思います。出発点は個人的な好奇心で、ちょっとしたテクノロジーだったり、それを大きな規模で考えてみたり。お話を伺って、「物語」と「モノ」という違いはあれど、創作の原点は本当に同じなんだと思いました。

    それと実は、私自身は何か「構造」をつくっている方々をクリエイターと呼びたいと思っているんです。建築とか鉄鋼とか、もちろん半導体もそうですけど、そういう実際にものをつくっている方々こそが「クリエイター」で、そうした方々のお話を聞くと、すごく力をもらえる。私自身がさまざまなモノの末端ユーザーの一人なんですけど、そうした自分のような存在も無駄じゃないと思えるというか。誰かがつくってくれた世界の中にいることができて、そして世界を拡張し続けてくれている人たちがいるということに、すごく元気をもらえます。

    河野:そう言っていただけるとうれしいです。                   

    高山:小説の創作は個人作業なので、頭の中で思いついたアイデアをカンカンと叩きあげて、小さなプロットをつくってみて、それで足りない部分とか補強したり、修正したりしながら物語をつくっていきます。きっと技術者の方も同じようなことを頭の中でされているんだと、今日お二人の話を伺って感じました。

    河野:私は先生のおっしゃられた“新しい技術に対する人間のゆらぎ”ということに、すごく感銘を受けました。人間を無視した形でテクノロジーが進化していくと、絶対に間違った方向に行ってしまうと思うんですよね。ものづくりの中心には、必ずその技術を使ってくれる人がいる。そして、その人がどう思うかを想像しながらつくっていくことが大切だと改めて感じました。人を中心としたものづくりをこれからも続けていきたいと思います。

    松浦:高山先生も好奇心が創作の原点だということで、自分たちと同じなんだと感じました。これからも、自分自身が楽しむことを忘れずに、世界中の人を感動させられるものを生み出していきたいと思います。

    高山:私も担当の編集さんによく、「書いてる人が楽しくないとダメですよ。苦しまないでください」と言われていました。やはり作り手が楽しんでないと、いいものは生まれないですよね。今回、お二人のお話を伺って、たくさんものをもらいました。私自身、ワクワクしみながら作品を書けそうです。ありがとうございました。

    高山羽根子さん(左)と松浦良さん(中)と河野壮太さん(右)

    松浦:こちらこそ、貴重な経験をありがとうございました。

    河野:作品ができあがるのを楽しみにしています。

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