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Sony Semiconductor Solutions Corporation

センシング技術が変える移動の常識。安心・安全の先にある、自由で豊かな時間

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2026.02.27

Text
末岡洋子
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平郡政宏

車載用センサーの進化は、単なる自動運転の実現にとどまらず、まったく新しいモビリティ体験を創り出します。運転という行為から解放されたとき、私たちは、その時間をどのような価値へと転換し、再定義することができるのでしょうか。

自動車ジャーナリストの川端由美さん。そして、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)の車載事業部にて、欧米市場を中心に海外顧客を担当するマシア テオフィル星二郎さん、マー シュエンさん。最前線を知る3人が語る3回目は、自動運転が社会にもたらす影響と、技術と体験の両面から描かれる2030年代のモビリティの姿について語ってもらいました。

自動車ジャーナリストの川端由美さんとソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)の担当者による対談を通じ、自動運転技術が社会や移動体験にもたらすインパクトを展望します。
社会的な側面から見ると、自動運転は深刻化する労働力不足への切り札として期待されています。特に、地方における公共インフラの維持や高齢者の移動手段確保において、不可欠なインフラとなる可能性があります。
また、技術がもたらす体験価値も大きく変容します。SSSが掲げる「Safety Cocoon」というコンセプトのもと、圧倒的な安心・安全が実現されることで、人は運転という行為から解放されます。移動時間は、エンタテインメントや対話を楽しむ「質の高い時間」へと再定義され、車内空間もリラックス重視のデザインへとさらなる進化を遂げるでしょう。センシング技術は、移動を自由で豊かな価値へと転換させる鍵となります。

Contents

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    労働人口減少と高齢化。自動運転が解決する社会課題

    マー シュエンさん(左)、川端 由美さん(中)、マシア テオフィル星二郎さん(右)

    ──日本の自動運転の状況や、それを支えるセンシング技術について伺ってきました。では、それらが社会に与えるインパクトについては、どのようにお考えでしょうか。

    川端:自動運転がもっとも大きな影響をおよぼすのは、深刻化する「労働力不足」への対応にあると考えています。総務省の予測によれば、2035年には労働力確保が厳しい状態に陥るとされています。すでに、タクシー業界では運転手不足が顕在化しつつありますが、今後は、消防や福祉などの公共インフラ・サービスを担う人材の確保すら困難になるでしょう。特に労働力不足が顕著な地方部では、労働リソースの最適配置という観点から、自動運転技術は単なる利便性の向上ではなく、地域社会の存続をかけた不可欠なインフラとなり得るのではないでしょうか。

    また、超高齢化社会を背景に議論される、高齢者の免許返納に対しても同様です。代替手段が豊富な都市部とは違い、労働力不足が進む地方の高齢者にとって、免許を返納して自らが運転できなくなることは、買い物や通院といった生活そのものが立ち行かなくなる可能性に直結します。ですから、高齢者の運転を認めないのではなく、より安全な運転を実現するために自動運転を取り入れていくことを議論すべきだと考えます。

    2035年まで10年しかありません。現場の切実な声に向き合えば、必然的に自動運転のニーズは高まっていくとみています。日本は補償や法整備では先進的に取り組んでいますから、車載技術の実装と、世間が受け入れていく体制・意識が鍵になります。

    ──普及が進む場合、どのような流れで実現すると考えますか。

    川端:人材を集めにくい場所から実装されるのが自然な流れですから、タクシーやバス、トラックといった商用車両が先行すると思います。自動運転車の普及にともなってコストが下がれば、一般家庭向け車両にも広がっていくはずです。

    マシア:東京都内では、品川エリアなどで自動運転のタクシーが走るようになりましたね。

    川端:そうですね。このままいくと、2030年前後が自動運転車普及のターニングポイントになりそうです。まず、車の性能がその車自体、つまりハードウェアに依存した従来のモデルから、ソフトウェアが車の性能を司る「ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)」へ、本格的な転換を迎えると予想されています。

    さらに、現在も進みつつあるEV化は、車両構造がエンジン車と根本的に異なるため、プラットフォームを設計し直す必要があります。つまり、EV化は、SDVに必要なシステムを組み込みやすいタイミングであり、自動運転機能についても同時に組み込まれていくのが自然な流れでしょう。

    運転から解放される時間、SSSがめざす移動体験

    ──自動運転が、不可欠なインフラとして社会に組み込まれていく未来が見えてきました。その流れの中で、SSSは、車載用センシング技術を通じてどのような未来を描いていますか。

    マー:自動運転により、高齢者や私のような運転が苦手な人も、運転のストレスから解放されるとよいですよね。そのためにも、センシング技術による圧倒的な安心・安全の実現が第一です。

    さらに、技術的・制度的にクリアすべき課題は残るものの、運転負荷が大幅に軽減されれば、移動に時間的・精神的な余裕が生まれます。その余剰リソースを、音楽・映画・ゲームといったエンターテインメントの有意義な消費や、車内でのコミュニケーションなどに使うことができます。従来の車では味わえなかった体験価値が実現していくのではないでしょうか。

    マシア:私たちが掲げる「Safety Cocoon(セーフティコクーン)」のコンセプトは、安心・安全で、かつ快適な移動空間を創出することです。言い換えれば、マーが述べたように、移動という体験そのものを豊かにすることにほかなりません。

    川端:そのような移動体験の変化は、車内のデザインにも影響を与えるでしょうね。高級オーディオが搭載されて音響が良くシートの快適性も高い車は珍しくありませんが、さらに、従来の運転操作に集中させるためのコックピット風デザインからリラックスできる空間デザインへと、居心地の良さを重視するインテリアデザインの要素が強くなっていくはずです。

    マシア:空間の質だけでなく、時間の質も変わります。先日、家族で伊勢志摩へ旅行した際のことですが、高速道路の渋滞に巻き込まれ、目的地に着く頃には運転による疲労が溜まっていました。家族が揃うせっかくの時間なのに、私は運転に集中しなければならず、会話を楽しむ余裕もありませんでした。もし、この移動時間が「運転に拘束される時間」ではなく、家族とのコミュニケーションを第一に楽しめる時間であったなら。車移動の質を向上させて豊かなひとときを創り出すことが、私たちが実現したい世界です。

    川端:車の役割が広がりますね。自動車の良さは家の前から目的地まで個室感覚で移動できることですから、その空間をより快適にする技術を期待しています。たとえば、新幹線なら3時間でついたとしても、寝たり仕事ができたり、仲間だけで過ごせたりと、より快適な空間であるなら、車で5時間かけて行く方を選択する選択肢が生まれやすくなるでしょう。移動手段を超えた空間として、車の価値が再定義されていくことを期待しています。

    ──運転から解放され、新しい体験を生み出すのですね。センシング技術に支えられた自動運転がもたらす未来が楽しみです。

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