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画像認識AIがもっと身近な存在に!Raspberry Pi AI Cameraで広がるものづくり
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2025.08.04
- Text
- :武者良太
- Photo
- :平郡政宏

LightsWill編集部は「AIカメラで遊ぶアイデアソン FUTURE SKETCH TECH-LIVE ACT.1」と題した公開取材イベントを実施しました。ゲストと読者を招いて、笑いあり、驚きありの場となった当日の模様をお届けします。
今回は、Raspberry Pi Ltd.とソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)がタッグを組んで開発した「Raspberry Pi AI Camera」の解説やデモンストレーションからスタート。藤原麻里菜(ふじわら・まりな)さんと、ギャル電(ぎゃるでん)のきょうこさんによる「Raspberry Pi AI Camera」を活用した作品もご紹介します。
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社とRaspberry Pi Ltd.が共同開発した「Raspberry Pi AI Camera」は、画像認識機能を搭載したエッジAIカメラです。運転中の危険行動の検出や液体の境界線の識別、視線・姿勢の検知など産業用途でも活用可能で、誰でも扱える点が魅力です。藤原麻里菜さんはブランド品に反応する犬ロボットを、ギャル電きょうこさんは複数の人物を検出して吠える番犬ロボットを制作し、技術とアイデアの融合を披露しました。
エッジAIカメラ「Raspberry Pi AI Camera」でなにができる?
まずは「Raspberry Pi AI Camera」について、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)システムソリューション事業部の野田明宏さんに産業用の活用例を中心に解説していただきました。

まずご紹介いただいたのは、配送業務でのユースケース。自動車のドライバーの危険行動検知です。AIカメラでドライバーの様子をとらえ、もし運転中にスマートフォンなどを使った場合は即座にアラームを鳴らすと同時に、スクリーンショット付きのメールを管理者に送信できます。「Raspberry Pi AI Camera」は人間の顔や物体などの形状を検出できるからこそ、このような使い方が可能なんだそう。
もう1つは、水と油の境界線の検出です。一般的なカメラでは検出しにくかった対象物であっても「Raspberry Pi AI Camera」であればリアルタイムで異なる液体の境界線を検出できるとのこと。
また、視線検知や姿勢検知ができるので、人の顔がどの方向を見ているかを認識できます。これを活用すれば、商業施設などでお客さんがどの商品やポスターに注目しているかを調べられそうです。
「Raspberry Pi AI Camera」用のAIサンプルモデルは、Web上で公開されています。興味さえあれば、誰でも「Raspberry Pi AI Camera」を活用できる環境が整っているんですね。

「ブランド品で態度を変える犬」「人ならざるものに吠える番犬」の制作秘話
武者(筆者):藤原麻里菜さんとギャル電きょうこさんには事前に「Raspberry Pi AI Camera」をお渡しして作品を制作していただきました。まずは、触ってみて感じられたことを教えてください。
藤原:画像認識・解析ができるエッジAIカメラって今までは手の届かない存在だったけど、私みたいな専門ではない人もなんとなくわかる、扱えるようになったと思いました。そして「Raspberry Pi AI Camera」とRaspberry Pi、合計2万円ぐらいで何かしら作れるってなると、可能性がありすぎますよね。
難易度が下がったからこそ、何をつくるかっていうところが重要になってきます。せっかくなので、ちゃんと技術を習得して、AIが搭載されているハードウェアを見たときに仕組みがわかるようになりたいですね。
きょうこ:今まで、エッジAIのデバイスを自分で触れてみようと思ったことがなかったんですよ。でも今回使ってみたら「え、やば」と感じたんですね。インターネットにつながっていなくても、モバイルバッテリーとRaspberry Piとカメラモジュールだけで完結する画像認識システムが作れるんですよ。マジで「ギャルが画像認識を使える時代が来た」と思って、テンション上がりましたね。
武者:それでは「Raspberry Pi AI Camera」を使った作品もご紹介いただきましょう。最初は、藤原さんの犬ロボット「チャッピー」。コンセプトは、ブランドものを持っている人にだけ忠誠心を示す犬ロボットだそうですね。
藤原:他人が持っているブランド品で態度を変える人がいるって聞いたんですよ。子どもを高級な私立の小学校に通わせている知人がママ友会に参加したら、なんか車の話と、何のコートを着てるかって話だけしかしないっていうのを聞いて、世の中にそんな人がいるんだと思って。
あと、犬って家族の中で優先順位を決めるところがありますよね。親戚の家の犬がポメラニアンなんですけど、私のことは下に見てていてワガママなんです。それを組み合わせて、ブランドもので、態度をコロコロ変える犬がいたらおもしろいなと思って作りました。
武者:きょうこさんの作品も犬ですね。視界のなかに2人以上の人物を認識したら吠えてくれるとのことですが、ご説明いただけますでしょうか?
きょうこ:最初は顔認識をさせて、自分にだけ懐いてくれる犬を作ろうとしたのですが、私にはハードルが高くて無理ってなったんです。
そこで、サンプルコードを使ってなにかできないかな、と考えたんですよ。結局、人間を一人だけ認識したら尻尾を振って、二人以上いたら吠える犬を作りました。「これ何に役に立つの?」って思うじゃないですか。
武者:はい。
きょうこ:私はひとり暮らしなんですが、「Raspberry Pi AI Camera」の画像認識を試していたら、自室に積んだ服の模様とかをみて「これ人間じゃない?」と認識することを発見したんですよ。そういうときに怖いから、吠えて追い払ってほしいと思ってつくったんですね。
一同 (笑い)

このあとは、いよいよアイデアソン。お二人のお話に触発された読者たちはどんなアイデアを生み出したのでしょうか。最終回は、熱気に包まれたアイデアソンの様子をお伝えします!
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