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#CES2024 主催者の歩みとともに振り返る、米国テクノロジー100年史
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2024.01.19
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世界最大のテクノロジー見本市「CES2024」が、1月9日から12日までアメリカ・ラスベガスで開催されました。
2024年はCESの主催者であるCTA(Consumer Technology Association:全米民生技術協会) 設立100周年となる年で、会場のあちこちに記念の展示が点在していました。CESがどんな意味をもつイベントなのか理解するためにも、いま一度その成り立ちを振り返ってみましょう。また、前回の記事に続いて Texas Instruments、Qualcom、Infineonの発表内容もご紹介します。
CES2024はアメリカ・ラスベガスで1月9日から12日まで開催され、CTAの設立100周年を迎えた。CTAは1924年にポータブルラジオ製造が始まった年にラジオ製造者協会として活動を開始し、その後テレビや初期のコンピューターの時代を経て、デジタル技術による大幅な変革を経験。1995年以降、CESは世界中から多くの企業が参加し、ITやAIに関する技術の発表の場となっている。
Texas Instrumentsは自動車用の新しいチップ「AWR2544 77GHzミリ波レーダーセンサーチップ」を発表。このチップは業界初の衛星レーダーアーキテクチャ用の単一チップレーダーセンサーで、センサーのサイズを削減し、センサー範囲を拡大する特徴を備えている。
Qualcommは自動車業界初の中央車両コンピューターを発表し、Snapdragon Ride Flex SoCをベースにしたプラットフォームを紹介。また、生成AIを重視した初のモバイルプラットフォーム「Snapdragon 8 Gen 3」がCES2024 INNOVATION AWARDSを受賞。
InfineonはイスラエルのAurora Labsと協力し、AIを活用した予測保守ソリューションを共同開発。このソリューションは、Aurora LabsのLOCI AIテクノロジーとInfineonの32ビットTriCore AURIX TC4xマイクロコントローラーを組み合わせ、自動車メーカーが安全で信頼性の高い車両を提供できるようにする。
CTAの歩みはメディアの変遷とともに
CTAが米国でサービスを開始した 1924 年は、最初のポータブルラジオが製造された年。ラジオ製造者協会 (RMA) として、メディアの誠実さを保証するために活動していたのがCTA の始まりです。
そして、1950 年代にはテレビが全盛期を迎えます。当時のテレビは視聴するために家族が集まる家庭の必需品でした。 1950 年代から 1970 年代は、第二次世界大戦後、テレビは大きく影響力を増し、初期のコンピューターも出現しました。
1995 年から 2014 年にかけて、テクノロジー業界はデジタル技術による大幅な変革を経験します。 Wi-Fi が 1997 年に一般利用可能になり、その2 年後にはBluetooth の最初のバージョンが登場。2000 年までに、世帯の約 60% がコンピューターを所有するようになりました。スマートフォンも出現し、この 20 年間は、インターネットがさまざまな変革をもたらしていった時代です。
こうしてメディア環境の変化を見届けてきたCESに現在では、世界中から多くの企業が出展し、ITやAIに関する技術を発表する機会になっています。そうした実状を踏まえ、2016年からは「Consumer Electronics Show」の略称だった「CES」がイベントの正式名称となりました。
Texas Instrumentsは自動車用の新たなチップ発表
CTAのサービス開始から間もない1930年に設立されたアナログICの世界最大手の企業が、Texas Instruments(TI)です。パワー半導体、アナログIC、デジタルICなど、さまざまな技術分野の製品を揃え、長年にわたって培ってきた技術力を持っています。ブースには、さまざまな基盤がむき出しで展示されており、SiCやGaNなどの次世代パワー半導体技術をいち早く開発し、自動車や産業機器などの分野で採用されてきた同社の強みが感じられる内容でした。
Texas Instrumentsは自動車の安全性と知能を向上させる新たな半導体部品を発表しました。新しい「AWR2544 77GHzミリ波レーダーセンサーチップ」は、業界初の衛星レーダーアーキテクチャ用の単一チップレーダーセンサーです。複数のレーダーセンサーから得られるデータを統合して、ADAS(先進運転支援システム)の意思決定を行うために活用されます。
AWR2544 77GHzミリ波レーダーセンサーチップは、複数のセンサーの融合を容易にするほか、業界初のパッケージ上での発射(LOP)技術を採用しており、センサーのサイズを削減したうえで、センサー範囲を拡大できるといった特徴をもっています。これにより、車両のデザインの自由度が高まるほか、より安全なADASシステムの実現につながると期待されています。
スマホのみならずモビリティ分野への進出するQualcomm
Qualcommは2023年9月にBMWとの技術提携を拡大することを発表。また、CES2024ではドイツの自動車部品メーカーBoschとともに、単一のシステムオンチップ (SoC) 上でさまざまなエンターテイメントとADAS機能を実行できる、自動車業界初の中央車両コンピューターを発表しました。
この新しいプラットフォームは、Qualcommの 「Snapdragon Ride Flex SoC」 をベースとしています。Snapdragon Ride Flex SoC は、複数のCPUコアやGPUコアを搭載しており、異なるクリティカル度の処理を効率的に実行することができます。モビリティ分野において存在感を増しています。
また、生成AI を念頭に置いて設計された、同社初のモバイル プラットフォーム「Snapdragon 8 Gen 3」がCES2024 INNOVATION AWARDSを受賞しました。
なお、CES2024に合わせて、中国Nubia社傘下のスマートフォンメーカーREDMAGICよりSnapdragon 8 Gen 3を採用したスマートフォン「REDMAGIC 9 Pro」が、ASUSからは、ゲーミングスマートフォン「ROG Phone 8」が発表されています。
InfineonはイスラエルのAurora Labsと協業
ドイツの半導体メーカーInfineonからもモビリティ関連のニュースがありました。同社とイスラエルのソフトウェア企業Aurora Labsは、AIを活用した予測保守ソリューションを共同開発すると発表。これは、ハンドル、ブレーキ、エアバッグなどの重要な自動車部品の長期的な信頼性と安全性を向上させるためのものです。
このソリューションは、Aurora LabsのLine-of-Code Intelligence(LOCI)AIテクノロジーと、Infineonの32ビットTriCore AURIX TC4xマイクロコントローラー(MCU)を組み合わせたもので、自動車メーカーがより安全で信頼性の高い車両を提供できるようになるそうです。